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――
ところで、どうして優と奏太が文化祭実行委員会をやることになったのか。それは9月の下旬に遡る……
「神原さん!」
「ひ、ひゃい!?」
生徒会副会長の寺内結衣に呼び出された優は、なぜ呼び出されたのかも分からずに困惑していた。
「文化祭実行委員、やりませんか!?」
「え……えぇ!?」
直球ストレートの誘いに、優は同反応をすれば良いのか分からずにその場に固まる。
生徒会役員が昼休みの廊下で勧誘をしている光景は、優のクラスだけでなく廊下を通る生徒全員から好奇の目で見られていた。
「優、何かあった――の……か?」
なかなか戻ってこない優を心配した奏太が、ひょっこりと顔を出してくる。
「奏太!」
奏太の顔を見た優は、条件反射の如く奏太に駆け寄って――
「くぁwせdrftgyふじこlp」
奏太の脇腹にタックルを食らわせ、それをまともに食らった奏太は声にならない悲鳴を上げてその場に倒れこんでしまう。
馬乗りになった優と、目を回している奏太はまたしても好奇の目で見られている。教室内から『お~昼間から~』などと冷やかす声が聞こえてくる。その光景を見た結衣は「ほほぅ」と一人納得したような声を上げて――
「お二人で文化祭実行委員やりませんか?」
と二人の前にしゃがみこんで勧誘をしていた。
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