文化祭Ⅰ

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「もう文化祭の前日なんだよね……」 「まったく。忙しい日だったな。裏方の手伝いも、楽じゃない。」 「まぁ、ね。」  奏太の言葉に相槌を打って、優は今いる室内を見回す。“生徒会執行部”や“一般委員会”に所属する人たちが一同に集まっているこの部屋で、これから文化祭直前最終ミーティングが行われ、優と奏太も壇上に上がり説明を行うことになっている。 「緊張してるのか?」 「――まあ、多少は。」  奏太の問いかけに、優は身体を震わせながら虚勢を張った。 「そんなに手が震えているのに、多少なのか。凄いな。」 「――ごめんなさい嘘つきましためっちゃ緊張してます!!」  一瞬の態度の変化に、奏太は思わず笑い出す。 「なっ……笑わないでよ!」  笑われた優は、顔を真っ赤にして反論する。 「悪い悪ぃ。…でも、緊張はとけたか?」 「えっ……あっ――うん……。」
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