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―――――――
私の名前は、篠原 瑞希(しのはら みずき)。
只今、高校3年生。
偏差値は、そこそこの学校に通っている。
制服も結構可愛いくて、私は、この学校に通ってよかったと思っている。
友達は、皆優しくて面白くて。
それに、この学校を選んだ事によって、私にとって大切な人に出会えて大切なものを教わったのだから―――――。
掃除の時間も終わって、皆、部活に行く人や友達と帰る人がいるなか、私は教室で1人で外をぼんやりと眺めていた。
ただただ、日が沈みかけている空を。
「――――瑞希!」
聞き慣れた、ずっとずっと待っていた声。
嬉しくも思ったけど、あまり顔に出さないようにゆっくりと振り向く。
それでも、気持ちは表情に出ているだろう。
「爽汰」
顔を確認すると、その名前を口にした。
私の大好きな、大切な彼氏。
「遅れてごめん。委員会が長引いて……」
少し息が乱れてる事から急いで来たんだろうな、と予想をした。
「ううん、平気。……一瞬帰ろうか考えたけど」
「……まじかよ」
「冗談だよ」
爽汰は私の言葉にため息をつきながら、私のおでこにでこぴんをしてきた。
「俺をからかうんじゃありません。じゃ、帰るか」
「……うん」
意外にも痛かったでこぴんを受けたでこを擦っていると、爽汰は手を差し出した。
こればかりは、何故か慣れない。
私は恐る恐る、手を伸ばして手を握った。
……いわゆる、恋人繋ぎで。
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