大切な人

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「瑞希」 「な……に?」 息が苦しくなる。 名前を呼ばれただけなのに。 辺りは真っ暗で、私達を照らすのは、街灯だけ。 ゆっくり、爽汰の顔が近づいた。 きっと、数秒の事だったのに私には、とても長く感じた。 神様、今だけ2人の世界にして。 もし、誰かに見られてたら恥ずかしいから。 ―――――私と爽汰の唇が重なった。 「………」 ぱっと離れた爽汰の顔を見ると少し赤くなっていた。 ……爽汰も緊張してたのかな……。 そう思うと、なんだか楽しくて嬉しかった と、そこで爽汰の余計な一言。 「目ぐらい瞑れよ」 爽汰だって、瞑ってないくせに。 そう思いつつ、私は何も言わず顔ごと視線を爽汰からはずした。
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