嘘か真か

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 僕がその光景を見たのは、ある秋の日の学校帰りの事だった。  僕は、学校帰りに、ある公園の前を通る。時刻は五時半を少し回った、というころだったろうか。歩いているときに、ふと公園を見たところ、男が低めの椅子に座っている。見たところ、三十代か四十代だろうか。その前には、僕と同じくらいの年ごろの男女が地べたに座ってじっとしているのだ。麻の着物らしきものを着ていた。その異様な光景に、僕は思わず立ち止まった。  椅子に座っている男は、僕の視線に気付いたのか、こっちへ近づき、話しかけてきた。 「なんでしょう?」 「あ、いえ、何をしているのかな、と思いまして」  とっさに僕は答える。 「あぁ、今から紙芝居をするんですよ」 「紙芝居?」 「ええ。よかったら、見てみますか?」  断ろう、と思っていたはずが、僕はなぜか「はい」と答え、二人の一歩後ろに陣とる。 「よし。待たせてごめんね。じゃあ、始めるよ」 すると、男女は男の方を向いた。 女の方には、見覚えがないが、男はどこかで見たことのある気がする。 そんなことを考えているうちに、紙芝居が始まった。
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