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目が覚めて目に入ったのは、見慣れた風景。毎日飽きるほど見ている、自分の部屋。
時計を見る。午前六時半。
いつものような朝。
朝食を食べながら、昨日の紙芝居のことを思い出す。あれは夢だったのだろうか。でもあの浮遊感を、何とも言えない感覚を明確に思い出せてしまう。じゃあ、あれは現実なのか?
あれこれ考えながら朝食を食べ終わり、洗面所に向かう。そして、ふと鏡を見て。
「――――っ!」
驚愕した。
あの「かめ」の顔に見覚えがあったはずだ。
毎日見ている顔。紙芝居に描かれていた「かめ」の顔。紙芝居の前に座っていた着物姿の男の顔。紙芝居をしていた男の顔。今、鏡に映っている顔。
すべてが同じ顔だった。
自分の顔は驚愕を表しているはずなのに。
笑うところなんて欠片もないのに。
鏡の中の人間が、ニタリと笑った気がした。
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