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「Merci.」
拳銃を胸の間に詰め、小切手を持って私は御兄様に膝間づく。
「I'm OK.」
私の手を取り周りの目など気にせず私たちは会場を出た。
「危なかったな.あと2分だった.」
「ご、ごめんなさ…」
「俺はこれから用がある.途中に違う馬車を待たせてある.それでお前は帰れ.」
「は、はい.」
シャーの馬車が通り過ぎて、私は御兄様に言われた通りの場所へとうるさい靴を動かした.
ぎゅっと握った革手袋.
少しこすれた音と自分の力.
また、私は穢れた….
「これはこれは、リゲル様では.」
道を濡らし始めた雨がどんどん強くなる.
「えっと……」
「ウィンドル社に居場所のない薄汚い泥棒猫めが.その格好はまたあの薄汚い手を使ったあとですか?」
「……なんの話でしょうか.」
橋のしたをくぐり抜ける途中。
腕を掴まれた。
「泥棒猫?私は華奢猫よ.」
「は?どーでもいい.俺たちは雇われた身だお前などどーでもいい.」
「汚らわしい。王家の継ぐ会社へ立ち向かう気?」
「おにーさまがいなければ何もできないくせに?」
嘲笑うかのように、殴られた頬は、時間差で痛みを走らせる.
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