開幕 +prologue+

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 20XX年。夏。  世界は破滅を迎えた。  世界の滅亡の原因は、隕石の衝突でも、大規模な災害でも、人的被害でもなく、たった一つのウイルスの流行による為のものだった。  バースウイルスと名付けられたそれは、食物連鎖の頂点と思われていた人類にのみ被害を与え、世界を破滅へと導いた。  しかし、それでも尚、人類は絶滅を逃れた。  それは、バースウイルスが即座に死に直結するものではなかった事も要因の一つであったが、何より人類が叡智を駆使し、いち早くウイルスの被害が及ばない環境を手に入れる事が出来た為であると言える。  そう、人類は大きな被害を被り、その数を大幅に減少させつつも、ウイルスの魔の手から逃れる事に成功したのだ。  ウイルスの蔓延した空気を遮断し、新たな酸素を生産し、人類は地下へと逃げ延びた。  大規模な地下施設の建設、移住には勿論数年の月日が必要ではあったものの、人類は絶滅という最悪の事態から逃れる為に、国、人種、言語等の壁を取り払い、三年という短い期間で成し遂げた。  しかしながら、やはり世界、社会という概念は破滅した事に違いがなかった。  政治、経済、身分、歴史といった今まで数千年をかけて培ってきたものは総て失われ、一から形成する事を余儀無くされた。  それは間違いなく世界の破滅であり、新たな世界の誕生でもあった。
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