ネクラヤンキー

10/10
前へ
/121ページ
次へ
皆から必要とされる北村の背中をいつも見送るだけで、目付きのせいにして努力をしなくなった俺。 少し失敗したからって、他人と関わることを諦めた俺。 いつも下を向いてばかりで前を見なくなった俺。 だからこそ「ネクラヤンキー」なんて不名誉なあだ名が生まれたんだろう。 俺も何も言わなかった。 俺はちゃんと自分を解っている。 情けないと思う気持ちも、少なからず、ある。 だけど、でも――― 俺は、慣れてしまった。 自分のこの環境に。 一度慣れたもんは、なかなか変えられないもんで。 だから、今日も俺は少し長めの前髪を掴み、俯くしかなかった。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加