『ちひろ先輩』

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『ちひろ先輩』は向日葵のような笑顔で俺を見ていた。 ――夢みたいだー!!! ――俺が、怖くないのか…? 二つの感情がせめぎあい、益々何も言えなくなる俺。 失礼すぎるだろ! 挨拶くらいしろよ!! 自分で自分を叱りながら、何とか口を開いた。 「あああの…」 「ね、私の名前知ってる?」 どもっていたら先輩が先に話しかけてきた。不甲斐ない。 てか、先輩? さっき北村が『ちひろ先輩』って言ってたから知ってるに決まってるんだが… 「…葉山ちひろ先輩」 初めて先輩の名前を呼んだ。今度はどもらないように言うために、かなり緊張した。少し震えた。 ただ、名前を呼んだだけなのに――――…
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