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視線を財布から前方へ移す。
数十メートル先には、全力で校舎に走っていく男子生徒二人がいた。
「…生徒てちょー落としましたよ~」
小さくなる後ろ姿に一応声をかける。勿論もう聞こえるはずないが。
「…はぁ……」
俺は無意識に前髪を掴みながら、俯いた。
朝の登校するこの時間、周りにはそこそこ人がいる。
明らかにその視線は俺へと向けられていた。ヒソヒソなんか喋ってる奴もいる。
「ねぇ、ほらあの人…」
「やっぱりヤンキーってホントなの?」
「でもめっちゃ暗いらしいよ」
「確かネクラヤンキーって」
「あはは、なにそれー」
聞こえてんだよ。
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