ネクラヤンキー

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俺は俯いたまま、足早に校舎へ入っていった。 教室へ行く前に職員室の隣にある事務室へ。 「…すみません、落とし物を届けに来ました」 来客に対応するための受付っぽい所から中を覗き込む。 するといつも対応してくれる事務員の中西さんが出てきた。 「おぅ?あんちゃんよく落とし物拾うねー。この一ヶ月で何回だっけ~??ガハハッ」 豪快に笑う中西さんは、俺と普通に接してくれる数少ない人だ。 細かいことは気にしないタイプなんだとか。何にせよいい人だ。 「財布と生徒手帳ねー。ったく無用心だよな、落とした奴。普通盗られてんぞ~。 届けてくれてありがとな!」 いや、財布は自ら俺に差し出してきたんです… とか言えるはずもなく、苦笑いして俺は教室へ向かった。
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