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顔をしかめた途端に、近くの席にいた奴らが「ひいっ」と後ずさる。
おっと、いかんいかん…
俺は慌てて前髪を掴んで俯く。
「…俺はそんなことしなくていいと思うぞー。
朝のだって、ただ生徒手帳を拾ってやっただけなんだろう?」
北村は不思議そうに俺を見る。
俺の顔を見て何とも思わない北村は、そうとう図太い神経の持ち主だと思う。もしくは天然だ。
俺の顔は、自分でも分かるほど厳つい。いや、ちょっと優しく言ったな。
なんと言うか、目付きがかなりキツいんだ。所謂ヤンキーって顔を見事体現している。
父親譲りらしいんだが、小さい頃からこの顔のせいで苦労してきた。
印象を良くしようと笑顔で話そうとしてみたこともあるが、どうも俺に作り笑いは無理みたいだ。
滅茶苦茶ひきつった顔で家のお隣さんに回覧板を届けた時には泣かせてしまった。あれは、申し訳なかったなぁ…
そんなことを何回か繰り返すうちに、かえって逆効果じゃね?と悟り、なるべく顔を合わせないように気を付けてきた。
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