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雲一つない爽やかな朝。
空はまるであたしの新たな門出を祝っているようだ。
「でも、寒いものは寒いのよね・・・・・・」
1月の深々と冷える寒さにあたしは肩をさすった。
あたし、寿 明日美(ことぶき あすみ)。
高校2年生。
腰まで長い髪を丁寧に三つ編みにする。
小柄で童顔なあたしはよく中学生に間違えられる。
まぁ、フケてみられるよりはいいかと開き直っている。
転勤族のパパのお陰で転校生ライフを送っていたんだけど、ママの意向で全寮制の高校へ通う事になった。
今日はその寮へのお引越し。
新学期からは新しい学校での生活が始まる。
元々、一人っ子で両親は留守が多かったから離れて暮らす事に関してはあまり寂しいとは思わなかった。
親しい友人との別れは寂しいと思ったけど、いつものパターンだと割り切ってるとこがあって自分自身寂しい奴だなーと思ってしまう。
「さて、妄想してたって時間がもったいないわ。
行ってきます。
・・・・・・って言っても誰もいないか」
あたしは小さなボストンバックを手に家を出た。
「よぉ、明日美。
遅かったな!」
玄関先で一人の少年があたしを待っていた。
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