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「いや。
何か面白いから事の成り行きをみようと思ってさ」
優太は昔からそうだ。
思い込みが激しいというか、事をドンドン進めていってしまうのよね。
でもそれが面白くってつい見てしまう。
「ははっ!
明日美、変わらないなー。
テンパる俺を冷静にみる明日美。
俺達、いいコンビだよなー」
笑いながら優太は言う。
優太ってまず怒らないのよね。
「そろそろ行こうよ。
あたしは寒くてたまんないよ」
冷えた体をさすりながらあたしは言う。
「あぁ、そうだな。
大事な明日美が風邪ひいてしまったら一大事だ。
折角の学園ライフが台無しになる」
そういって優太はあたしの手を握った。
「優太ぁ?」
いきなり握られあたしは驚く。
「何も驚く事はないだろ。
迷わないように手をつないでいるだけだ。
昔はよくこうしていたじゃないか」
平然と優太は言う。
確かに昔はあたしがすぐはれるから、こうやって優太が手を握ってくれていたけど……。
「ありがとう。
優太・・・・・・」
優太の手をギュッと握りしめる。
大きくなった優太の手からは昔から変わらない温かさが伝わってくる。
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