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    鈴音は、それ以降学校で亮の姿を探すようになった。しかし、鈴音が通う青風高校は県下でも有数のマンモス校。敷地面積も広いし、生徒の数だってべら(ぼう)に多い。なかなか亮の姿を見つけることはできなかった。見つけても遠くてすぐに見失ってしまう。  出会えたら何か話しかけたいと鈴音はいつも思っていた。でも、本当に彼が目の前に現れたら、きっと口を開くことすらできないだろう。  鈴音は、無意識に右手の親指を()んだ。 …………  「りっぺ。その(くせ)やめた方がいいよ」  いつの間にか、同級の夏海(なつみ)が隣に立っていた。『りっぺ』とは鈴音(りんね)のあだ名。鈴音は、噛んでいた親指を慌てて下ろす。視線の先には亮がいた。グラウンドでサッカーを楽しんでいる。  彼が視界に入ると、ついこの癖がでてしまう。暖かい春の日差しが窓から入り、鈴音たちの頬を光らせていた。 .
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