毛糸

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 目の前にあるのは婚約指輪。  家に帰ってくるとお母さんにリビングに呼び出された。  そして知らない男の人とご対面。  まず、思考が追い付かなかった。  次、混乱した?  なに?ドッキリ?  新手のストーカー?  そんなマンガみたいな話ないって。  いやいや、初恋以来まともな恋愛もする気になれない半熟女子なのに、婚約?  冗談にしては面白いよね?  ああ、ウケルウケル!  ってマジっすか?  考えれば考えるほどドツボにハマっていく。 「あの、お知り合いでしたっけ?」  上目づかいで男の人を見る。  出されていたコーヒーのカップに口を付ける優雅な男の人。  絵になるとはこういうことを言うんだな。  まあ、他人事ですけど。 「佐伯悠里さんですよね?御影柾貴といいます。3年前に1度お会いしましたよね?」  キーワード・3年前。  思い出せない。  3年前といえば、初恋に敗れたことくらいしかないのに。
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