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気づけばその公園にいた。
木の下にうずくまって子供みたい。
泣くわけでもなく、ただうずくまって御影さんの瞳を思い出してた。
感情を丸ごと持っていかれるかと思った。
怖かった、御影さんの気持ちに惹かれる自分が。
恋に浮かれる自分が馬鹿らしくて、意識して人を好きにならないようにしていた。
あんな恥ずかしい思いはもう二度とゴメンだから。
「ここでしたね、悠里さんと出会ったのは」
見上げると御影さんがいた。
人の良さそうな笑顔を浮かべて、一緒にうずくまってくる。
「気に障ったのならさっきの言葉は謝ります。でも確かに君を好きな自分はここにいるんです。3年前のあの時から」
寂しそうに笑う御影さん。
その顔に3年前の大学生の輪郭が重なる。
彼だったのか。
不覚というか、意外というか。
御影さんを見たら心配そうにしてる。
そしたら胸がキュウって痛くなる。
「あの時、僕は手痛い失恋をしてしまいましてね。初恋でした。付き合っていたんですが、君にあった日、突然彼女が別れを切り出されましてね。なんで?って聞いたら僕のことは財布だったと。別に付き合ってる男性がいて、彼に貢ぐために僕と付き合っていたと。滑稽でしょ?少し考えればわかるのに、僕は周りが見えなくなるほど彼女に夢中だった。ショックでした、そんな時に君が僕にマフラーをくれたんです」
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