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その日、そのコンビニには長蛇の列が出来ていた。
「あれ?このコンビニ、イベントか何かやってんの?」
「さぁ、でもこれだけ並んでるんだから何かあるんじゃない?」
「ぜってー何かあるってコレ!!並ぼうぜ!」
嗚呼日本人の悲しいサガ。噂が噂を呼び、行列はむやみやたらと長くなっていった。
原因はレジの男だった。
とにかくやたらと作業が遅い。何しろ彼は、夢とうつつを行ったり来たりしながらお仕事をしているのだ。
「えっとぉ…サンドイッチがぁ……💤」
商品1つに軽く10秒、やっとカウントを終えても精算までにまた一眠り……
「寝るなボケェェェ‼」
とうとう痺れを切らした1人の女性客が、男の顔面にコークスクリューパンチを放った。鼻血を吹いて男は床に倒れ伏す。
「ああっ!!お客様すいませんすいません!」
倒れた男の背中を踏んづけ、調理担当だった女の子が半泣きでレジに入る。
ようやく、悠久の大河は流れ始めた。
町のコンビニはその日、開店以来最高の売上を記録した。
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