自然保護団体の恐怖

2/3

30人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
「原発をなくし、美しい自然を取り戻しましょう!」 生物学の博士にして自然保護団体のリーダーであるノヤマ氏は、日夜精力的に活動していた。 まとまった休みが取れるとメンバーを連れて山歩きやバードウォッチングを楽しむ彼にとって、自然は恋人だった。 人間のエゴで美しい自然を汚すなど、到底許しがたい。 忙しい研究の合間をぬって反原発シンポジウムに参加し、「人間の勝手な振る舞いで地球を汚すことが、果たして許されてよいのか⁉」と力説する彼の姿はまさに英雄のそれだった。 「教授、大変なことが判明しました!」 そんなある日、驚くべき情報を携えて1人の助手が彼の部屋を訪れた。 「……人の数が多すぎ?」 「はい、このままですと、あと50年もしないうちに地球の資源は人類に食い尽くされてしまいます!!」 「日本は少子化ではないのか?」 「日本はむしろ人口減ですが、世界的には人口爆発の流れです!」 「むぅ、それはいかんな。」 博士の決断は早かった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加