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半年が過ぎた。
彼はジュラルミンのケースに入った「研究成果」を助手たちに1つずつ手渡した。
「お呼びでしょうか?教授。」
「……いいかね君たち、このケースには地球を救う特効薬が入っている。君たちはこれを中国、東南アジア、アフリカなど人口の多すぎる地域で散布するのだ。操作は簡単、ケース蓋を空けるだけでいい。」
「はっ!必ずや地球を救って見せます!!」
助手たちは世界へ飛んだ。
―― その年の冬、アジア、アフリカを中心に猛威を振るった謎のウイルスは、春の訪れと共に死滅するまでに乳幼児を中心におよそ600万人の命を奪った。
博士の助手たちも、誰ひとり還っては来なかった。
「犠牲者600万人か……少ないな。」
伝染病の終息を伝える記事を一読し、ノヤマ氏は思わず舌打ちした。
「やはり核でもあったほうが効率がいいな。核を手に入れる方法はないものか……」
美しい自然を守るため、ノヤマ氏の悩みは今日もつきない。
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