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朝からヘリコプターの音がうるさい。
おそらくコロシアムの上空を何台もの報道ヘリが舞っているのだろう。
コロシアムは超満員になっていると看守が知らせに来た。
それもそのはず、今日が世界初の仇討ち刑執行の日だからだ。
執行されるのはもちろん、この俺。
罪状は一家4人惨殺、その家の長女に一目惚れした俺は、夜中に侵入して、親父とお袋と弟をハンマーで殴り殺し、長女をレイプしながら絞め殺した。
死刑が廃止された代わりに、終身刑と、日本独自の仇討ち刑が導入された。本来なら、終身刑ですむはずの俺を、ベッドの下に隠れて生き延びた末っ子の妹が、わざわざ仇討ち刑に指定して来たのだ。
俺にも、覚悟ができている、この刑には助太刀制度という、特別制度が設けられていて、それぞれ腕に覚えのある賞金稼ぎが、仇討ちを代行するという。
俺にだって腕には自信がある。ロシアの特殊部隊で訓練を受けてた身だ。返り討ちにしてやる!
ちなみに、見事仇討ちを退けた時は無罪放免となる。
どんな殺し屋が来ようとも、俺様は負けない。
そう思いながら、コロシアムに入場して驚いた。
俺の前に立っていたのは、自分の武器として選んだ、セラミックの三得包丁を握り締めた、妹の少女一人だったからだ。
「お前の助太刀人はどうした」
「そんな人、雇えるお金が、あたしにあるわけないじゃない!」
少女はそう叫ぶと、三得包丁を構えて俺に突進して来た。
俺は、自分のナイフを投げ捨て、少女のされるがままにした。
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