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御浪市を揺るがしたM部隊と反政府組織ネメシスの激闘より数日。巽光は喫茶店ONAMIを訪れていた。
目的は、情報収集。あの決戦より行方不明になっている兄・巽翔と、その友人・桐生恭介の手がかりを探して奔走していた。
だが、あの日以来、彼らの姿を見た者は一人も見つからない。だが光は諦めない。今日は学生達がよく利用するこの喫茶店を訪れたのだった。
「いらっしゃいませ。」
紅い髪を綺麗に束ねたバーテンが光を席へと案内する。明らかに目立つ髪の色だ。あれは地毛なのか?
「コーヒーください。砂糖とミルク多めで。」
「少々お待ち下さい。」
バーテンがコーヒーを持ってくる。その後ろには、整った長い金髪をした長身の男がいた。
「センゴク、俺の分の仕事、頼まれてくれるか?」
「追加は?」
「三百円。」
「よし乗った。」
どうやら給料の話らしい。紅い髪のバーテンは鼻歌を歌いながらカウンターへ戻っていく。その間に金髪の男が光の前に座った。
「貴方はM部隊の…。」
「そう、M部隊指揮官、京極六弦だ。よろしくな、巽光。」
「よろしくお願いします。」
兄から一度、この男・京極六弦について話をされた記憶がある。表面上は飄々としているが、常に周囲を細かく分析している抜け目無い男だ。
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