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一人の男が走っている。但し、ランニングではない。
男は20代前半で手にはハンドガンを持っている。本人は気付いていないが、残弾数は0。服装は警官の制服を着ているが、全く汚れていない。どうやら新人警察の様だ。
角を見つけて曲がるが、行き止まりだ。後ろからは生きる屍が迫って来ている。ハンドガンの銃口を向け、引き金を引くが、鉛弾など出ない。
そのまま近寄って来る。どうにかしたいが、残弾数は0、ナイフはあまり使えない。どうする事もできない。先ほどのショットガンを持っていた男の様な目に合うのだろうか…
警官の服を着ている男はしっかりと見ていた。丸腰の人間はどうなるかを…
奴等に噛み付かれ、食い殺されてしまう。新人警官の男の頭には恐怖心しかなかった。肉を食われる痛み… 追いかけられる恐怖… そして何よりも仲間が一人もいない。一人孤独に死んでいくのだ…
何て事を考えていると、奴等が目の前に居た。そして次の瞬間、体に激痛が走る。食いちぎられている。
新人警官の男は抵抗しない事にした。今抵抗してもどうせ殺される。なら、今殺された方が楽かもしれない。
ついに押し倒された。新鮮な肉を求め奴等が群がる。
新しい警官制服が血で汚される。消え行く意識の中、新人警官が暗闇に向かってこう呟く…
「…泣けるぜ」
これが彼の最期の言葉であった…
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