一歩ずつ歩きだそう

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自然公園を抜けて再び町並みへ繰り出す。 ムンゾ市の町中にいる沢山の人達が使わなくなった衣類や自分達の生活に支障を来さない程度に買ってきた食糧を集めてザビ市へと運んでる。 かなり時間は掛かるだろうけどジオンは必ず再興できると思う。 二年前に起きたエゥーゴ戦争の時みたいに。 ヘリオス要塞でギリアムさんは言ってた。 未来は変わったって。 僕達ゼウスこそが希望[エルピス]なんだって。 でも僕は思うんだ。 この惑星[ほし]で懸命に未来を見据えて進んでいこうとしている全ての人達が希望[エルピス]なんじゃないかって。 そんな人々の明るい未来を生きたいという強い想いが世界を作ったっていう何者かに決められた暗い未来を変えたんじゃないかなって。 起こってしまった過去には確かに戻れないし変えることもできない。 だけど辛い過去があるからこそ人は過ちを二度と起こさないように教訓として後世へと語り継ぐ。 まるで未来に生きる人達に希望を託すように。 僕はギリアムさんの仕出かした出来事を絶対に許さないし許しちゃいけないと思ってる。 それが最後に僕達ゼウスの行動こそが正しかったと言ってくれたギリアムさんの過ちから僕が学んだ教訓だから。 のんびりと周りの景色を見回しながら早くダカールに帰りたいと急く気持ちを抑えて僕は歩いてく。 これからは急ぎすぎて周りが見えなくなってしまった彼の分まで僕は、しっかりと様々な光景を目に焼き付けながら正しい道を進んでつもりだ。 はしゃいでる子供達。 晴れた空。 風に靡く木々。 地面に咲く花。 それらの風景を横目に、ゆっくりと一歩ずつダカールに続く道のりを歩いていった。
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