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「あっ、あ……ごめんなさいです」
扉の側に立っていた女の子にぶつかってしまった。
「あっ、こっちこそごめん」
同い年にしては、ちょっと小さいかな?
『…出町柳行き発車します…』
慌て、僕は少し奥に詰める。でないと、ドアに鞄が接触するから。
「あっ!どこかでみたことあるなぁ、って思ったら………」
首をかしげていた少女が、ポンと手を打つ。
そう言えば、「~です」って語尾、今日どっかで聞いたような……。
「朝、阪急京都線の河原町9時着の特急の先頭車でおばあさんに座席を譲った人です。違いますか?」
………すごい。よく覚えてる。そして………。
「うん………そうだけど………」
「やっぱりですぅ♪」
………タラちゃん口調?
「あと、今日ずっとこの8030系追いかけてるです」
「………当たってる」
何、まさかつけられてる?
「私も、この8030系にずっと付きっきりなのです」
へ?
まさかの同業者?
「あっ、私の名前は松谷三咲です」
え?自己紹介?
でも、されたからにはこっちもしなきゃいけないかな………
………照れる………
「あ…えー、僕は小松崎達哉です」
「……何年生ですか?きっと先輩だと思うです」
「え?中学3年だけど……?」
「じゃあ、同い年だったのですぅ💦」
ごめんなさい、年下だと思ってました。
は、口には出さない。
『次は七条、七条』
その車内放送でふと気づく。
「あっ、収録……」
「達哉くんは音鉄なのですか?」
「いや……全部かな?」
「あっ!邪魔してしまったです……」
「え?!……大丈夫、七条出発からだから!」
本当は嘘なんだけど、しょんぼりする三咲ちゃんを見ていると、そんな言葉が口に出た。
そりゃ、三咲ちゃんを見れば、誰だってそう思ってしまう。
だって、かわいいから。自然体全開なのに。
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