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恩字の講義が終わった頃には、すっかり昼過ぎになっていた。
今日も一人で昼食を摂る。
仲良くなった御霊グループの<不良>達とは、女装癖が発覚してからは会わないようにしていた。
どう思われているのかは分からない。
今は誰にも会いたくないんだ。
どうやら、ここにボクの居場所はないみたい。
これじゃあ<学校>に通っていた頃と同じじゃないか。
間違いだらけのボクの人生。
バイタリヲンは人選ミスを犯したようだ。
だから能力を授ける相手を替えたのかな?
もうボクには関係ないけどね。
疲れたから部屋に戻って寝よう。
ボクは誰にも見つからないように注意して廊下を渡った。
誰にも見つからないように……。
「よう、千好じゃねえか」
見つかっちゃった。
「い、誘音さん」
この人はどうも苦手だ。
「お前、能力を失ったそうじゃねえか」
ボクは無意識に目を逸らした。
「あまり大きな声で言わないで下さいよ」
ボクが能力を失ったという事実は、円卓の騎士団内の秘密になっているのだ。
「誘音さんには関係ないでしょ」
「関係ないわけねえだろ。お前は御霊グループの上層メンバーの一員なんだぜ」
「どうせ明日の団員会議でメンバーから外されるよ」
ボクは誘音の横を通り抜けようとした。
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