62人が本棚に入れています
本棚に追加
切矢はボクを守ってくれた。
本当ならボクは騎士団から落とされるはずなのに、切矢は団員を説得してくれたんだ。
……それがお節介なんだよね。
もうボクのことは放っておいてよ。
絡んで来ないでよ。
一人にさせてよ。
ボクはもう切矢の武器にはなれないんだ。
期待に応えられないんだ。
だからもう、役立たずなボクを見捨てて欲しいんだ。
そうしたら気が楽になる。
切矢の代わりにリーダーになるなんて、ボクには無理だよ。
お願いだから、ボクに期待しすぎないで……。
それなのに切矢は、ボクに全てを晒したんだ。
自分の弱さを。
本音を。
仲間の前では堂々と格好良く振る舞ってる切矢だけど、弱味だってあるんだ。
だって切矢も人間だもんね。
それをボクなんかが垣間見ちゃって良かったのかな。
後を継ぐつもりもないのに。
でも、ちょっと安心しちゃったんだ。
切矢にだって弱味がある。
最低人間のボクにも希望が見えたんだ。
人の弱味を見て安心するなんて、やっぱりボクは最低人間なのかな。
そんな折り、涙深がやって来たんだ。
癒奈が目覚めたらしい。
ボクはまだ涙深の言うことを信じられなかった。
涙深の言うことをなんてボクは聞いてやらないもんねーだ。
後で向かうと返事して、涙深を部屋から追い出した。
最初のコメントを投稿しよう!