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追い出したはいいけど、これからどうしよう。
診療所へ行くつもりもないし。
それにしても、涙深は嬉しそうな顔をしてたなあ。
本当に癒奈のことが好きなのかな?
ええい、どっちでも構うもんか。
涙深の言葉が嘘だろうと本当だろうと、ボクには関係ないもんねー。
はあ、ボクはもう疲れちゃったよ。
女装して気分を入れ替えようっと。
今日はメイクもがっちり、二時間かけちゃおう。
まずは服装から。
次は顔!
眉を整えて……まぶたは二重に。
嫌なことは忘れて、大変身よ。
あら、また人面瘡が動き出したわ。
「数日ぶりであるな、神偶千好よ」
「どうしていつも、このタイミングで現れるんだよ。気分ぶち壊しだね」
ボクは左手の忌まわしい瘤を、右手の指でつねった。
鋭く整えた爪先を立て、深くまでえぐる。
「痛たたたっ」
「自分の体をつねっても仕方ないぞよ。我には全く通じないのだ」
「バイタリヲンめ。今度はなんの用だ」
「なんの用だ、とはまた強気なものの言い方であるな。我は汝に通告する為に現れたのだ」
「通告だって?」
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