-転- ボクは何者に“成るべき”なの?

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バイタリヲンは人類の歴史を語った。 三度に及ぶ大きな争い。 卵子爆弾の投下。 その後に構築された新たなる<セカイ>。 バイタリヲンは人間に透明なカプセルを与えた。 <工場>の中心にあるバイタリヲンシステムだ。 バイタリヲン曰く、かつてシステムを管理していたのは人間だったという。 けれど、今では<先生>が全てを操っている。 ただし<学級委員長>は例外だ。 なぜ例外の存在が必要なのか。 現在のような<セカイ>の体制が、予め仕組まれていたからだった。 そんなことをいきなり言われても、まるで意味が分からないだろう。 ボクだって、切矢に同じことを言われてなかったら理解出来なかっただろう。 今まで<先生>が説いてきたことは、全て嘘だったことになる。 ボクは切矢から<セカイ>の真実を教わった。 人間はバイタリヲンに試されているのだ。 バイタリヲンの能力を得た子供達は合計七人。 癒奈のAT細胞は七人全員の能力の仲介役だ。 ならば、バイタリヲン本体と密接に繋がってるのはボクではなく、癒奈のはずだ。 だったら癒奈は……。 ボクがそう気付いた半秒後、人面瘡の口がモゾモゾ動いた。 「そうだ、ついでに教えてやろうぞ。汝の思考は読めているのだ。しかるに、意識を取り戻した灰鶴癒奈は……」
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