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切矢との七年ぶりの再開。
その日以来、ボクの平凡な日常はことごとく崩壊したのだった。
今頃ボクは、<先生>殺しの極悪人として手配されているはずだ。
亞六あたりが血眼でボク達のアジトを捜索しているだろう。
「ボクを切矢の武器にしてくれないか?」
なんて言っちゃったけど、正直、後悔してきた。
最初から癒奈なんか助けず、さっさと寮に帰ればよかったんだ。
切矢は強引でリーダー気取りだし。
二人とも変わり過ぎなんだよ。
あ、それはボクも同じだったか。
ボクはバイタリヲンとかいう変な力に目覚めちゃった。
けれど、中身は逆に弱くなったような気がする。
今ボクが強くなったって、護りたい人なんかいないんだもん。
せいぜい切矢や恩字に、いいように使われるのが関の山だ。
恥さらしな人生だよ。
この人面瘡さえなければ……。
仇と対峙するような目で、左の掌を睨む。
思い通りにならないことだらけだ。
やるせない気持ちが、表面張力の限界まで溜まっていく感覚。
「そうだ、今日の朝の訓練が終わったら、久しぶりに女装してみよう!」
ボクはのそりと部屋から這い出し、集合場所の倉庫へと向かった。
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