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「理科係になるんじゃなかった」
菜月の言葉にコクリと頷く。
そしてノートに書いてある名前を確認しては、クラスの名簿表にチェックしていった。
理科係がこんなに大変だとは思わなかった…。
「あーあ。今日、たっくんと一緒に帰る日だったのに…」
たっくんって他校にいる菜月の彼氏じゃん。
最近会ってないって言ってたし…。
「菜月!私、一人で大丈夫だから行っておいでよ!」
「えっ!でも悪いよ」
驚きながら私を見る菜月。
「大丈夫だって!」
「いや、初良一人でやらせるわけいかない」
このままだと菜月は行きそうにないと思ったから━━━━━━━
「じゃあ、いつかハンバーガーおごってよ」
菜月とは出会ってまだ1年だけど、何をしたら喜ぶとか、何をしたら笑うとか
けっこうわかる。
だから、こいうときはこう言えば、いいことも知ってる。
「んー、わかった。ありがと!初良」
カバンを片手に教室を出た菜月の後ろ姿を見送り、私はまた手を動かしはじめた。
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