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『綺麗だ。』
遠巻きに唄い達を見ていた青(アオ)がポツリと漏らすと、隣でまんじゅうをほおばっていた九重(コノエ)が盛大に眉をしかめる。
『やめてください、街に来るたびに一目ぼれとか、どれだけ惚れっぽいんですか?。』
『べ、別に惚れてはいないぞ?。綺麗だから綺麗だとそう言ったんだ。』
『こないだの人妻は神隠しにあったって大騒ぎだったんですからね。』
『ついてくるって、言うから…。』
『既婚かどうか確かめてから声をかけてください。あと、青田刈りもやめてください。』
『青田刈り?。』
『可愛い子供をさらうのも禁止です。僕たちは由緒正しい龍族なんですよ?。人身御供や神隠しで人間の命を奪う輩と同じにならないように、行動には常に自覚と責任を持って……』
『あ、妙なやつが!。』
青の日ごろの行いに説教を始めた九重だったが、青が勢いよく立ち上がって走り出してしまったのでその背中を見送りながら盛大にため気を付いた。
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