1.青天の霹靂―悠真―

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『美依ー。帰るぞー』 階下から聞こえてきたのはオッチャンの声。美依は慌てて俺から降り、ドアへと向かう。 「――私、諦める気ないからね」 ドアの前で一瞬立ち止まり、此方を見ることなくそう告げるとそのまま部屋を出ていった。 情けない話だけど、俺は美依の後ろ姿を眺めるしか出来なかった。 『ごめーん。急にお腹痛くなっちゃったから、もうちょっと待っててー』 ドアの外から聞こえるやりとり。どうやら美依は二階のトイレに入ったようだ。オッチャンたちの「大丈夫か?」という声がする。 俺は両腕で顔を隠し、大きく息を吐き出した。 正に晴天の霹靂という言葉がピッタリだ。美依が俺にそんな感情を持っているだなんて考えもしなかった。先ほどの行動を思い出し、熱が顔に集まる。それと同時に胸が痛む。 「――初めて見たな、美依の泣き顔」 驚いてドアを見ると、いつの間にか空真の姿があった。 「――ノックぐらいしろよな」 どういう態度をとったらいいか分からず、ぶっきらぼうにそう告げる。
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