15人が本棚に入れています
本棚に追加
悠ちゃんが彼女と別れて嬉しかった。
その弱みにつけこむ気満々だった。
でも悠ちゃんは落ち込んではいたものの、見せる顔はいつもと一緒。空ちゃんと私には『お兄ちゃん』の顔しか見せてくれない。
「……絶対妹を卒業してやるんだから」
人様の家のトイレで呟くことではないだろうけど、私は決意を新たにした。
両親が先に帰ってから、十分くらいしたかな?トイレのドアをノックする音と共に、空ちゃんの声がした。
『美依。彼女来たんだけど出れるか?』
「うん」
トイレから出ると目の前には空ちゃんが。顔を見合わせるとニコリと笑ってくれた。
「うん、泣いたって分かんないな。もう大丈夫だろう。じゃあ行くか」
「ありがとう空ちゃん」
空ちゃんの後に続き階段を降りる。
玄関に着くと、空ちゃんはリビングの方に向かって声をかけた。
「じゃあ行ってくるなー」
「おじゃましましたー」
空ちゃんの声と共におばさん達に声をかける。本当は顔を合わせて言うべきだということは分かっているけど、やっぱり顔を合わせづらい。
最初のコメントを投稿しよう!