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「美依ちゃん大丈夫?」
玄関の扉を開け外に出た時、奥から来たおばさんと目が合った。咄嗟に扉の陰に隠れ、顔を半分だけ覗かせ笑顔を作る。
「もう大丈夫!食べ過ぎたのかも。ご心配おかけしました」
私の答えに、おばさんはホッとしたみたい。
「美依。大丈夫か?」
今度はおじさんも部屋から出てきたので、私はVサインでそれに応える。
「空。しっかり送ってこいよ。彼女にもよろしくな」
「あまり遅くならないのよ」
「はいはーい」
二人の声に軽く返し、道路へと向かう空ちゃん。
私はもう一度おじゃましましたと声をかけてお辞儀をし、空ちゃんの後に続いた。
家の直ぐ側の道路には、軽自動車が止まっていた。暗いから色はよく分からないけど、濃い紫かな?
空ちゃんが手を振ると、運転席の人も振り返した。
「後ろでいいよな?」
空ちゃんの問いに頷き、運転席の方へと回る。それに気付いたのか窓が開かれた。
「あの、すいません。わざわざ送っていただくことになってしまって……」
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