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時は五月。寒い冬も終え、暖かな季節に皆がウキウキと身も心も弾ませている。なのに……
「何で俺、ふられてんだろう……」
ひと足早くこの部屋にだけ梅雨が来たかのように、俺の周りは暗く沈んでいる。
「えっ?大学生と浪人生じゃ釣り合わないからだろう?」
「えーっ!悠ちゃん、彼女にそんなこと言われちゃったの!?それは可哀想だね~」
他人事のように(いや、確かに他人事だけど)あっさりと、しかも的確に傷を抉る言葉を投げ掛けてくるのは弟の空真――高校二年生と、幼なじみの望月美依――高校一年生。
「違う!お互い時間も合わなくなるし、俺の勉強の邪魔をしたくないからって言われたんだ!」
俺の必死な訴えも、二人には暖簾に腕押し。
「はっ?俺が言ってることと一緒だろう?大学生と浪人生だから時間も立場も合わなくなるから別れたんだって」
「それに高校卒業の時は『どんな事があってもずっと一緒』とか言ってたんでしょう?現実受け入れようよ」
大きなため息と共にベッドにダイブ。そのまま二人に背を向けるように壁を見る。
「……おまえらなんて嫌いだ」
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