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「大丈夫だよ。悠ちゃんイイ人だから」
「――美依。それ、あんまり慰めになってないし」
『イイ人』ってこの場合は褒め言葉じゃないよな?こういう場合は『イイ男』って言われたいけど――まぁ無理か。何せ『愛すべきヘタレ兄ちゃん』(美依談)だからな。
……益々悲しくなってきた。
「まあまあ。元気出して」
美依が俺の頭を優しく撫でる。
「……美依。気持ちは嬉しいけど、より情けなくなるから止めて」
三つ年下の女の子に慰められるって、本当に情けない。
美依は俺の言葉通り撫でるのを止め、ベッドの端に座り此方を見つめている。その時にある事に気が付いた。
「そういえば高校生になってから会うの初めてだよな?入学おめでとう。制服、似合うじゃん」
その言葉に、花が咲いたようにぱぁっと笑う美依。その姿は本当に愛らしい。
少し茶色に染めたストレートのロングヘアー。色白の肌に長い睫毛とぱっちり二重。高校生になったからか、少し化粧もしているみたいだ。
美依が着ている紺色のブレザーの制服は、俺が三月まで通っていた学校のもの。
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