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鬼のなり損ない
「何処だ…?ここ…?」
目が覚めると周りには何もない、ただ真っ白な場所があるだけの所だった。
確か俺は森でエレティカに撃たれて気を失ったはずだ。いやこの場所は死後の世界なのかもしれない。
「俺は死んだのか……」
「カルマが死んで良かったよ」
何処からともなく聞こえてきたそんな言葉。周りには確かに誰もいない。勿論隠れられる場所もない。
それじゃあ何処から?そして誰が?俺は周囲を警戒し周りを何度も見渡したが誰もいない。
「探しても無駄だよ、僕はそこにいない」
「それじゃあ何処にいる!?」
「それはカルマの意識の中、かな?」
「お前誰だ?何故俺の名前を知っている!」
「僕は君だよ」
「俺……?」
「そう、僕は君の中にいる一本角の鬼だ」
「俺の中にいる鬼?」
「だから君が死ねば僕が君の身体を自由に使えるよ」
「俺はやっぱり死んだのか……?」
【貴方はまだ死んでない!】
「はぁ、また邪魔が入ったよ」
俺の中にいるらしい鬼があきれた声で呟いていた。
そしてこの声の主は誰だ?その声は頭に直接響く感じに聞こえた。
【貴方はまだ生きているから…さぁ目をさまして…】
視界が暗くなってきた。
「また話せるなら今度はゆっくり話そう」
最後に俺の中にいる(?)鬼がそう言っていた。
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