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俺の身体に自分の意思が戻った感覚があった。自分の意思をもって身体を動かせる。
周りを見ると既に鬼は居なかった。だが一人の鬼は死体になり床に転がっていた。
「なんだこれ……酷い……」
鬼の死体は右腕が千切れている。さらに左足も千切れている。左腕と右足はやっと繋がっているという感じだ。それに内臓も少し出ている。頭も潰れていて脳が少し出ていた。
あまりにも酷い……
一体誰がこんなことを……?
「俺が殺ったのか?」
突然そんな言葉が俺の口から吐き出されていた。自分自身で何故そんなことを口にしたのかわからなかった。
その言葉にウィルが反応して返答した。
「そうだよ!!お前が、カルマが殺ったんだ!!」
ウィルは少し嬉しそうに、怯えながら答えた。
「なぁ、カルマお前の人種は何だった?」
ウィルは唐突にそんなことを聞いてきた。
「ウィル?何故今更そんなことを聞くんだ?俺はノーマルだぞ」
当たり前のことを当たり前に俺は言ったつもりだったがウィルは驚いた顔をしていた。
「カルマ!お前自分の顔鏡で見たことあるのか!?」
ウィルは何を言っている?何故この状況でそんな質問を?そんなことを俺は思ったが静かにウィルの
質問に答えた。
「毎日朝、顔を洗う時に見てるよ!俺の顔がなんだってんだよ!?」
ウィルは少し落ち着きを取り戻しこう言った。
「それじゃあ今のカルマの顔を戦闘訓練場にある鏡で見てみろよ!!」
「わかったよ、そんなに言うなら見てみるよ!」
はっきり言ってウィルが何を言っているのか意味が分からない。こんな状況でふざけるとは思えない。その答えを知るには鏡を見るしか無さそうだ。
鏡があった。割れているがしっかりと俺の身体が鏡の中にあった。
戦闘訓練場の鏡は武器を構える姿勢を見るために付けられたものだ。だから全身が映るようにでかい鏡だ。だがいまは割れている。丁度俺の上半身までしか映っていない。
少しづつしゃがんでいく。
だんだん俺の顔が見えてきた。
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