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「とり…おわ…とりー…!」
「お菓子…れなきゃ…ストラ…キ…する、ぞ!」
10月31日の放課後。カボチャの形のハンチング帽子を頭に乗せた二匹の悪魔わんこが生徒会室に乱入し、突然のストライキ宣言とともに菓子の要求を突き付けてきた。
「はいはい。先程届いたハロウィン限定お取り寄せチョコで構いませんか?」
「ん!」
「それ…狙…てた!」
突然の強襲にも動じた様子を見せない副会長が棚から取り出したチョコレートの箱に、見えない尻尾をばたつかせた二匹のわんこは、きゅんきゅんとまとわりつき、鳥のヒナのように大きく口を開ける。
「はい、あーん」
「「あー」」
ぱかりと開いた二匹の口にそれぞれ一粒ずつ放り込み、ふと思い出したように室内を見渡し本来居るはずの金髪が見当たらない事に気付くと、麗しの副会長様は柳眉を潜めた。
「悠斗め…」
『また』サボり常習犯の会計がいない。
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