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(もう……ダメ、私……勇者に、次は身体を穢されるのね)
魔王はもう恐怖さえ感じなくなっていた。
諦め、という毒が魔王を蝕み籠絡したのだ。
次はきっと身体を穢される、そう思い魔王はポロポロと大粒の涙を零し瞳を閉じた。
しかし、いつまでたっても姫勇者が魔王を襲ってこない。
(おかしい……)
魔王がうっすらと瞳を開けると姫勇者が服を整わせているところだった。
姫勇者「あら、早く服を着たらいかがです?」
魔王は理解できず、呆然としていた。
姫勇者「キスで満足しましたから、今日はここまでにしてあげます♪」
姫勇者はニコリと笑い、箱から真新しい純白のドレスを取り出し、それを魔王に下着を付け着せつけた。
魔王「わ、私……白、嫌い」
魔王はつい白が嫌いだと漏らした、すると姫勇者はニコリと微笑み魔王の頬に手を添え言った。
姫勇者「あなたには白が似合いますよ、フフッ……まるで天使みたいです♪」
悪魔で魔王の自分に白が似合うと言い、まるで天使みたいと言った姫勇者に魔王はドキリとした。
魔王「そ、そんなことないもん!わ、私は魔王なんだぞ!!」
顔を赤らめ否定するが、姫勇者は優しい微笑みを浮かべたまま魔王の頭を撫でた。
魔王「ぅう……なんなのよ、もう!」
無理やり襲ってきていやらしいキスをしてきたかと思えば、すぐに下着と服を着せ優しくしてくる姫勇者に魔王は困惑した。
そして、姫勇者の次の言葉で魔王更に困惑するのだった。
姫勇者「さぁ、お好きな所に逃て構いませんよ♪」
逃て構いまわない、そう言った後姫勇者は口を三日月型に歪ませ笑い続けた。
姫勇者「ただし、チャンスは一度限りです♪次に私に捕まったら……」
魔王の顎を掴み顔上向かせ、姫勇者は言い放った。
姫勇者「あなたを私のモノにします、もちろん身体も心も魂の全てを私だけのモノに♪覚悟していて下さいね♪では、お逃なさい私の可愛い可愛い魔王♪」
こうして、魔王と姫勇者の壮絶な追いかけっこが幕を開けたのである。
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