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首輪の鈴を触りながら、魔王はまた目を閉じ姫勇者との別れ際を思い出した。
姫勇者から解放されたあの日、魔王は食べ物や着替えの服を姫勇者から与えられていた。
それに、けして多くはないけれど、不自由しない程度のお金も貰っていた。
そして国境近くで別れる際に、首輪を着けられた。
姫勇者「フフッ……魔王、ゲームをしましょう♪」
姫勇者は微笑みながら、魔王にゲームを提案した。
魔王「ゲーム?何のゲームよ?」
魔王は若干、距離をとり姫勇者に問いかけた。
姫勇者「簡単な鬼ごっこみたいなゲームですよ♪私があなたを追いかけ、魔王が私から逃げる、ね?簡単なゲームでしょう?」
魔王は一瞬思案し、姫勇者の顔色を伺いながら幾つか質問した。
魔王「その鬼ごっこはいつまでするの?」
姫勇者「そうですね……一年にしましょう、来年の今日を期限としましょうか」
姫勇者はそう言いながら、魔王に時限付きの魔法石を手渡した。
魔王「一年……って!?渡すのにいちいち手を掴んでこないでよ!」
魔法石を渡す際、姫勇者は魔王の手を両手でギュッと掴んできた。
少し顔を赤らめた魔王を見て姫勇者は、可愛いですわぁ♪と笑った。
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