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(つ、捕まっちゃう!?)
逃げれない、と魔王は覚悟し亀のようにギュッと体を縮め身を硬直させた。
少女「あの、大丈夫、です、か?」
しかし、魔王の眼に映ったのは、大きな荷物を背負い泥で顔を汚し粗末な服装の灰色の髪の小さな女の子だった。
魔王「っう!?」
小さな女の子に驚ききょどった自分に、魔王は恥ずかしくなり頭を抱え込んでしまった。
少女「どこ、か、ケガ、しました、か?」
少女は頭を抱え込み苦悶する魔王を心配し、オロオロし始めた。
魔王「べ、別に貴女に驚いて転んだ訳じゃないんだか……きゃっ!?」
魔王は我にかえり、少女を指差し必死に弁解を始めようとするといきなり少女が魔王の手を掴んできた。
魔王「な、なんなの!?」
いきなり手を掴まれた魔王はパニックになった。そんな魔王をよそに少女は一瞬キュッと口元を噛みしめた後、背負っていた荷物の中から白い布を取り出し引き裂いた。
魔王「な、なにする気なの!?わ、私を縛ってあの商人に売り渡す気ね!?」
魔王は更にパニックになり、必死に抵抗しようとしたが以外に少女の力は強くふりほどけなかった。
少女「でき、た」
そうこうするうちに、少女は魔王の手を離した。
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