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魔王「え……?」
自分の手を見ると先ほど少女が引き裂いた布が巻きつけてあった。
少女「ケガ、して、ました」
少女は柔らかな微笑を浮かべながら魔王の手を引き、起こしてくれた。
魔王「むぅ……フ、フン!気安く私に触らないで!」
恥ずかしいのと照れ隠しで魔王は少女の手を乱暴に離し顔を横に向け紅潮させた。
少女「ごめん、なさい」
少女は魔王が怒っているのだと思ったのか、シュンとなりながら顔を俯かせ謝った。
魔王「あ……べ、別に怒ってるわけじゃないから……そんなに落ち込まないでよ……ほら」
さすがの魔王も少女の申し訳なさそうに沈んだ表情にいたたまれなくなり、唯一盗られなかったハンカチを差し出した。
少女「……??」
急に差し出されたハンカチに少女は戸惑いの色を浮かべた。
魔王「もう!顔に泥がついてるのよ!」
ハンカチを受け取らない少女に痺れを切らせ、魔王は少女の顔を優しく拭いた。
少女「あ、ありがとう、ございます」
少女は頬を少し染めながら、はにかんだ。
魔王「まったく、ほらこっちも……あれ?」
左頬を拭き終え、右頬を拭こうと振り向かせようと触れた瞬間、静電気のようなピリッとした波動が魔王の手に感じられた。
魔王「あなた、魔族なの?」
少女「っ!?」
魔族、その単語が出た瞬間に少女は体を強張らせ泣きそうな顔をした。
魔王「え?え?なに!?どうしたの!?」
予想外な少女の反応に魔王は戸惑い、少女以上に泣きそうになった。
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