プロローグ

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姫勇者「逃げられちゃった……ハァ」 魔王の玉座に座りながら、私の口から小さなため息が漏れた。 1年……1年もの時間を使い魔王討伐の準備をしてきたのにな、なんて思いながら玉座に残る微かな温もりを堪能する。 姫勇者「んっ……魔王の温もりと匂い……幸せぇ」 愛しいあの娘の匂いと温もりでついつい表情がにやけてしまう。 姫勇者「でも……どうしてこの想いが届かなきのかしら?」 一通り堪能した後、憂鬱な気分もしてくる。 届かない想い、会えない辛さが心をチクチク刺してくる。 憂鬱な気分を紛らわそうと先ほど見つけた部屋に行こうと思い、玉座の裏に回り隠しボタンを押した。 すると、鈍い音をたて壁が左右に割れ開き、豪華な黄金の扉が現れた。 扉の中央に[魔王寝室]と書かれたプレートが下げらていて、微かに中から漏れるあの娘の匂いに私の心はときめいた。
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