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ファリアはキースの消えた跡を見ながら立ち尽くしている。
「ファリア様…」
リイが声を掛けるが、返事はない。
「…この気持ちをどうしたら良いかわからないんだ…」
ファリアは小さな声でつぶやいた。
ファリアの気持ちを察したリイは、自分まで胸が痛くなるような気がする。
「ファリア様、キースさんの事が好きなのですね」
リイの言葉に、ファリアは俯いて両手で顔を覆った。
「心配なんだ。
心配でたまらない。
私にはやるべき事があるのに、キースの事ばかり考えてしまう…!」
ファリアは俯いたまま床に座り込んでしまった。
リイはこんなファリアを見るのは初めてだった。
ファリアに近寄り、そっと胸に抱き寄せる。
「ドルナスの造った最強の身体とキースさんの強さならば大丈夫ですよ!
ファリア様もキースさんを無事にお迎えしなければなりませんから、うかうかしてはいられませんよ」
「うん…」
ファリアは小さな声でリイに返事をした。
「キースさんも頑張って下さっているのです。
ファリア様も遅れを取ってはなりません」
「うん」
リイには、今はただ、ファリアにやる気を出させるような言葉を掛ける事しか出来なかった。
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