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キースは何事もなく順調に街道を歩き、イルデア首都の入国口に着いたのは、深夜に近い頃だった。
入国審査も、警備も、同じ制服を着た人々が担当している。
キースは物陰に隠れて様子を伺った。
あれが治安維持部隊というやつか。
…それにしても、驚いた。
「あいつらほとんど魔成生物じゃないか…!」
キースは思わず小声でつぶやく。
ドルナスの言っていたように、なぜか魔成生成の見分けがつくようだ。
治安維持部隊の制服を着た者達の中には、普通の人間もいるようだが、大多数が魔成生物のようだった。
だが、魔成生物とはいっても、合成の割合のほとんどは人間で、魔物の部分はほんの僅かしかないようだが、それでも通常の人間の数倍の身体能力があると思われる。
魔王だけを狙うつもりだったが、思ったよりも面倒な事になるかも知れない。
とは言っても、今のキースにとっては、魔成生物が何匹向かって来ようが、何の障害にもならないのだが。
ただ面倒、その一言で片付けられるだけの自信と強さをキースは持っていた。
魔成生物とはいえ、元々人間だ。
あまりむやみに殺したくはない。
キースは少し考えてから、一番楽な方法で入る事にする。
不可視の魔法を展開して、正面から堂々と入国した。
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