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官邸はぐるりと高い塀に囲まれているので、入ってみないと中の様子はわからない。
こそこそしたところで、どうせ治安維持部隊と戦闘になるだろう。
ならば…
キースは正面から行く事に決めた。
官邸の塀をくぐった瞬間に、不可視の魔法の効果が結界によって打ち消されて、キースの姿が現れる。
キースが全身黒いためか、警備に当たっている治安維持部隊は、侵入者の存在に気が付いていない。
キースは堂々と歩いて官邸敷地内に侵入する事に成功した。
官邸正門前に向かっていると、治安維持部隊の人間がキースの存在に気付いた。
「何者だ!?」
1人が発した言葉で、その場にいる全員がキースに注目する。
ここの警備は4人だ。
「何だ!あれは!?」
「魔物!?」
「止まれ!!」
「魔物か!?」
この4人が普通の人間だとわかると、キースは4人を無視して歩みを進める。
「こっ攻撃しろ!」
1人の合図と共に、4人が一斉にキースに向かって、各々の得意な武器を使って襲いかかってきた。
キースは避けようともせずに、そのまま攻撃を身体で受け止めた。
「なっ!!」
「ウソだろ!?」
武器は硬い皮膚に弾かれて、キースには傷ひとつついていない。
「なあ、あんた」
キースは治安維持部隊の人間に話し掛けた。
まさか話し掛けられるとは思っていなかったのか、話し掛けられた人間は大きく動揺しているのがわかった。
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