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流れるような所作で、治安維持部隊の隊員達を次々と絶命させる。
キースが命を奪う、と決意してから、全員を仕留めたのは、あっという間の事だった。
「気分がいいものではないな…」
殺さないよりも殺す方が簡単なのは、皮肉なものだ。
キースは剣に付着した血を払い、官邸内に入っていった。
官邸内は、非常灯が灯っているだけで薄暗い。
広い廊下を中心に、左右に別れて部屋があり、正面には大きな階段があった。
キースは魔王の気配を頼りに、階段へ向かう。
階段の上から、再び治安維持部隊と魔物の魔成生物がキースを襲う。
キースは最初から止めを刺しながら、階段を登っていく。
「まだいるのか…」
2階に上ったキースは、目の前の光景にため息をつく。
階段を上ったその先は、1階と同じように広い廊下があり、その廊下は魔物の魔成生物で埋め尽されていた。
先程までのものよりも大型の魔成生物のようだ。
キースは剣を抜かずに、素手で魔成生物の群れの中へ突っ込む。
時には血肉を食らいながら、全滅させるのは簡単な事だった。
キースは、魔成生物の残骸が散らばった廊下を進んでいく。
「待て」
キースの前に1人の人物が現れた。
「お前は…」
そこにいたのは、魔王の側近のケーニスだった。
「お前では役不足だ。
引け」
キースはケーニスに向かって言う。
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